1986年4月26日にチェルノブイリ原発事故が起きてから25年が過ぎた。人々の心の中から忘れ去られようとしていた時、皮肉にも日本の福島原発でチェルノブイリと同等かそれ以上の事故が起こり、チェルノブイリの悲劇がまた甦った。
「菅内閣は人殺し内閣か!」というエントリーでも書いた通り、菅内閣は、首相官邸災害対策ページに御用学者の意見だけを載せ、今回の福島第一原発事故を過小評価して国民を騙そうとしている。
その後、このレポートに批判が殺到したのだろう。総理官邸のウェブサイトは、御用学者の長瀧重信・長崎大学名誉教授と天下り団体の常務理事佐々木康人の連名で書かれた限りなく怪しいレポートにソース元を追加したが、それがかえってそのレポートが嘘だったことを証明してしまった。
原発内で被ばくした方
*チェルノブイリでは、134名の急性放射線障害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。
*福島では、原発作業者に急性放射線障害はゼロ(注3)。
という部分は、世界保健機構(WHO)の下記の英文から引用されたと思われる。
According to UNSCEAR (2000), 134 liquidators received radiation doses high enough to be diagnosed with acute radiation sickness (ARS). Among them, 28 persons died in 1986 due to ARS. Other liquidators have since died but their deaths could not necessarily be attributed to radiation exposure.
WHOの英文は、清掃作業担当者だけについて書かれたものであり、そのときに原子炉にいた人々や近隣の人々については全くふれていない。それにもかかわらず、公邸が示した御用学者の文章では、まるで全ての犠牲者について書かれているかのような錯覚を読者に与える。又、134名の清掃作業担当者のうち、28名は急性放射線障害で亡くなられたというのは事実だが、「その後現在までに19名が亡くなっている」の19名というのはどこから出てきた数字なのか。WHOの原文では、清掃作業担当者はその後全員亡くなられたと書かれている。
さらに、下のインタビューによると、チェルノブイリ原発で亡くなられた人の数は、1986年から2004年までに98万5千人にのぼったそうだ。一方の原子力を規制・奨励する国際機関である国際原子力機関(IAEA)でさえもチェルノブイリの死者数を約4千人とホームページで発表している。このように死者の数が大きく異なるのは、IAEAが発表したチェルノブイリフォーラムという調査書は350の論文に基づき英文で公開されている資料だったが、ヤブロコフ博士とネステレンコ博士たちは5千以上の論文を基にしており、英文の論文だけではなく、他言語の論文も含まれていた。また、実際に現場にいた医師、科学者、獣医師、保健師など地域の人々の病状を見ていた人たちの声を基にしているという。
1959年に結ばれた協定によってWHOはIAEAの許可なしには調査書を発表できないことになっているため、世界保健機構(WHO)でさえチェルノブイリの真実を語っていないそうだ。下のインタビューが見られる『Universal Subtitles』というサイトでは、各言語に字幕が訳されており、もちろん、日本語字幕もある。ボランティアの翻訳者が募集されているので、興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。
No comments:
Post a Comment