ロイターによれば、朝日新聞が土曜日に、「ビルドアップ」の役員が、作業員に、福島第一原発内の線量の高い場所で作業するとき、線量計を鉛のカヴァーで覆うように指示したというニュースを報道したことをレポートしている。
その朝日の記事というのは、下記の記事だろう。
線量計に鉛板、東電下請けが指示 原発作業で被曝偽装
http://www.asahi.com/special/energy/TKY201207200768.html
朝日新聞は、福島県の中堅建設会社である下請け会社「ビルドアップ」の役員(54)が偽装工作したことを示す録音記録を入手した。昨年12月2日夜、作業員の宿舎だった福島県いわき市の旅館で、役員とのやりとりを作業員が携帯電話で録音していた。
役員はその前日、作業チーム約10人に対し、胸ポケットに入るほどの大きさの線量計「APD」を鉛カバーで覆うよう指示した。だが3人が拒んだため、2日夜に会社側3人と話し合いがもたれた。役員は録音内容を否定するが、この場にいた複数の作業員が事実関係を認めている。
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役員が口火を切った。
「年間50ミリシーベルトまでいいというのは、原発(で仕事を)やっている人はみんな知っている。いっぱい線量浴びちゃうと、年間なんてもたない。3カ月、4カ月でなくなる。自分で自分の線量守んないと1年間原発で生活していけない。原発の仕事ができなかったらどっかで働くというわけにはいかねえ」
作業員の被曝限度は「年間50ミリシーベルト」などと法令で定められている。被曝限度を超えれば、原発では当面働けない。
役員は続けた。
そして、ロイターは、NHKが9人の作業員が、鉛カヴァーつきの線量計を1度だけ使ったと「ビルド・アップ」の代表取締役社長が認めたことを伝えている。しかしながら、NHKのそのニュースはすでに削除されてしまったのか見当たらず、変わりに、鉛カヴァーつきの線量計を使用したのは、5人の作業員のみで、「被ばく線量偽装 影響小さいか」などという偽装を過小評価しようという意図が明白な記事が報道されている。
被ばく線量偽装 影響小さいか
NHK 7月23日 14時3分
7月23日 14時3分
東京電力福島第一原子力発電所の事故の収束作業で、工事を請け負った会社の役員が作業員に対して、線量計に放射線を通しにくい鉛のカバーをして、被ばく線量を少なく装うよう指示した問題で、工事を発注した会社が聞き取り調査を行った結果、作業員ら5人がカバーを使ったものの、偽装の影響は小さいとみられることが分かりました。
福島第一原発の工事を請け負っていた、福島県や青森県に事務所がある設備メンテナンス会社「ビルドアップ」の50代の役員は、去年12月、作業員に対して、身につける線量計に、放射線を通しにくい鉛のカバーをして、被ばく線量を少なく装うよう指示していました。
工事を発注した「東京エネシス」が、作業員らに聞き取り調査を行った結果、役員を含む5人が、1度だけ鉛のカバーを使ったことを認めたということです。
また、鉛のカバーをした線量計の値と、予定していた被ばく線量や、同じ作業をした別の作業員の線量計の値と比べたところ、大きな差がなかったということです。
このため東京エネシスは、「不適切な行為は継続して行われておらず、偽装の影響は小さいと考えられる」としています。
厚生労働省は、労働安全衛生法に違反する疑いがあるとして、作業員の被ばく線量のデータを保管している原発の敷地内にある事務所に立ち入り調査を行うなどして、詳しいいきさつを調べています。
私が思うには、この鉛カヴァー付きの線量計を使った作業員は、5人や9人どころではなく、何十人も何百人もいたと思う。恐らく、生存しているのが、5人や9人ということではないのだろうか。作業員の被曝量は年間50ミリシーベルトと決められているが、それを超えても大丈夫なように、偽装したのであり、放射線を大量に浴びたら死に至ることは誰もが承知していることなので、この偽装は、殺人と呼んでもおかしくないほど恐ろしいことだ。
厚生労働省が調査に乗り出したといっても、恐らく、共犯なので、事件をカヴァー・アップするだけで、NHKの報道に見られるように、この犯罪の重大さを過小評価し、何事も無かったかのように扱われて終わるのが関の山だろう。国家をあげて殺人を擁護するとは、恐ろしいことだ。
Japan Nuclear Disaster Probed By Health Ministry
Reuters | Posted: 07/21/2012 2:40 am Updated: 07/21/2012 9:13 am
TOKYO, July 21 (Reuters) - Japan's health ministry said it would investigate reports that workers at the stricken Fukushima nuclear power plant were urged by a subcontractor to place lead around radiation detection devices in order to stay under a safety threshold for exposure.
The Asahi Shimbun newspaper reported on Saturday that an executive from Build-Up, a subcontrator to plant owner Tokyo Electric Power, told workers to cover the devices called dosimeters when working in high-radiation areas.
Dosimeters can be worn as badges or carried as devices around the size of a smartphone to detect radiation.
Nine workers wore the lead plates around the devices once after the executive's plea, Public broadcaster NHK said, citing the subcontractor's president.
Japanese law has set an annual radiation exposure safety threshold of 50 millisieverts for nuclear plant workers during normal operations.
But a massive earthquake and tsunami that crippled the Fukushima plant in March 2011 led to a breach of containment structures that released radiation, keeping large areas around the plant off limits more than a year later.
A Tokyo Electric Power spokesman told Reuters on Saturday the company was aware from a separate contractor that Build-Up made the lead shields, but that they were never used at the nuclear plant.
Build-Up could not be reached for comment.