Monday, July 20, 2015

戦争法案の成立は、ジョセフ・ナイ著「対日超党派報告書」ですでに数年前に米国によって決められていた

以前ブログで、ジョセフ・ナイ氏のソフトパワー論について触れたが、その記事に厳しいコメントを下さった『オルタナティブ通信』さんが、その3日後にアップしてくださった記事(2008年)を紹介させていただきたいと思う。

ネット上にアップされるべきではないこの米国CIAの極秘文書である「対日超党派報告書」がどこから漏れたのか、それは謎であるが、デタラメにしては、うまく書かれすぎている。

これを読むと、今回の戦争法案の衆院での可決は、すでに何年か前に米国の対日戦略報告書に書かれていたことが、現実になったものであるということがわかる。しかし、世界の情勢は変化し続けている。中国経済が大きく発展してきており、中国の軍事力も米国に劣らないほど増強された。ただ、その中国が台湾に戦争をしかけるということは、今ではありえないことだと思う。この時代遅れの米国の戦略にのって、米国に言われるままに憲法を変え、国民の反感をかってしまった安倍政権の愚かさは、まさに失笑そのものだ。

日本と中国の戦争を画策する者達 

以下、過去記事の再録。
ジョセフ・ナイ著「対日超党派報告書」

― Bipartisan report concerning Japan ―

この米国政府の戦略文書は、かつてCIAを統括する米国大統領直属の国家安全保障会議NSCの議長で、同時に東アジア担当者であり(クリントン政権)、後に安全保障担当の国防次官補であったジョセフ・ナイが、米国上院下院の200名以上の国会議員を集め作成した、対日本への戦略会議の報告書である。

ナイは現在、米国の政治家養成スクール、高級官僚養成スクールであるハーバード大学ケネディ行政大学院の院長であり、そこから輩出された無数の政治家・行政マンの司令塔となっている人物である。この人物が「事実上」、米国の政策を起草している。(現在、ナイは特別功労教授と言う名誉職へと退任しているそうだ。)

その内容は以下の通り。

1、東シナ海、日本海近辺には未開発の石油・天然ガスが眠っており、その総量は世界最大の産油国サウジアラビアを凌駕する分量である。米国は何としてもその東シナ海のエネルギー資源を入手しなければならない。

2、そのチャンスは台湾と中国が軍事衝突を起こした時である。当初、米軍は台湾側に立ち中国と戦闘を開始する。日米安保条約に基づき、日本の自衛隊もその戦闘に参加させる。中国軍は、米・日軍の補給基地である日本の米軍基地、自衛隊基地を「本土攻撃」するであろう。本土を攻撃された日本人は逆上し、本格的な日中戦争が開始される。

3、米軍は戦争が進行するに従い、徐々に戦争から手を引き、日本の自衛隊と中国軍との戦争が中心となるように誘導する。

4、日中戦争が激化したところで米国が和平交渉に介入し、東シナ海、日本海でのPKO(平和維持活動)を米軍が中心となって行う。

5、東シナ海と日本海での軍事的・政治的主導権を米国が入手する事で、この地域での資源開発に圧倒的に米国エネルギー産業が開発の優位権を入手する事が出来る。

6、この戦略の前提として、日本の自衛隊が自由に海外で「軍事活動」が出来るような状況を形成しておく事が必要である。

 以上のように、米国は日本海の「パレスチナ化」計画を策定しており、米国は日本を使い捨てにする計画である。そして、この計画の下に自衛隊の海外活動が「自由化」され始めている。
この利権のために日本軍と中国軍に「殺し合いを行わせる」、これが米国政権中枢の戦略文書に明確に書かれている。

今は戦争なんて別世界の出来事でとても想像できないくらい平和な日本。しかし、歴史は、繰り返すという。安倍政権がこのまま続けば、米国の戦略によって、日本は戦争に巻き込まれることは必至だ。日本軍(自衛隊)や日本国民を守ることよりも、経団連の犬であり、経済発展を重要視している自民党にこのまま政権をまかせたら、どういうことになるか。おわかりだろう。


関連記事:
「アジアに、対立と紛争・戦争を引き起こし、漁夫の利益を得る」ケネディ行政大学院の「戦略」は、アラブに向かってターゲットを絞りつつある。外来種であるサウジアラビア王家が打倒されるのは、いずれ時間の問題である。「アラブに、対立と紛争・戦争を引き起こし、漁夫の利益を得る」ナイ戦略は、ナイ直系のズビグニュー・ブレジンスキーをブレーンとするオバマ次期大統領によって、「どのように画策・実行されて行くか」、注視と監視が必要である。
米軍等、自国の軍事力=ハードパワーを使わず、他国同士を「争わせ」、日本VS中国・北朝鮮の疲弊を持って米国のプレゼンスを高める「政治戦略」、それを「ソフト・パワー」と呼ぶ。ナイが、その著書「ソフト・パワー」で語った、その言辞の美辞麗句の行間を正確に読み解かなければならない。

3 comments:

Unknown said...

非常に興味がありますが,この文書の英文オリジナルはどこにあるのでしょうか?
それから,「今回の戦争法案の成立は」とありますが,まだ参院があり,成立していません.なんとかこれを防ぐ方策を考えています.
例えば,ブログ記事「戦争法案を廃案に追い込むシナリオ」
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2015-07-18

minnie said...

Yamamoto 1999さま、
コメントありがとうございました。お返事が遅くなり、申し訳ございません。ジョセフ・ナイの「対日超党派報告書」の英文のオリジナルは、このリンク先のブログを書いた方が、どこから手にいれたのかわかりません。古いといっても、もし、この文書が実際に存在すれば、米国の極秘文書でしょうから、最近成立した「秘密保護法」などにひっかかるとやっかいなことになるかもしれません。

間違った表現のご指摘ありがとうございました。さっそく、訂正させていただきました。

minnie said...

Yamamoto 1999さま、
それから、「戦争法案を廃案に追い込むシナリオ」も読ませていただきました。国民ができることは限られていますが、国会議員、学者、有名人らに働きかけて、なんとか、廃案に持ち込みたいものですね。