Friday, August 16, 2013

『はだしのゲン』を排除しようとしているのは在特会系?

8月16日付けのNHKニュースによると、松江市教育委員会が、中沢啓治さんの漫画『はだしのゲン』を、一部に過激な描写があるため、市内の小・中学校の図書室で子どもが自由に読むことができなくするよう学校側に求めていたことが分かったと報道しているが、下のニコニコ動画を見てもわかるとおり、4月の時点では、松江市教育委員会は、『はだしのゲン』は断固として撤去しないと回答していた。

4月20日「はだしのゲン」を撤去せよ松江市教育委員会の回答

これほどまでに、かたくなに撤去を否定していた松江市教育委員会が、なぜ、突然撤去することになったのか。恐らく、在特会系の中島康治という高知県市会議員が、しつこく「反日的」マンガとして排除を働き掛けたようだ。問題にしているシーンは日本兵による、現地市民への惨殺が「反日的」というらしい。

地元の高知市議会では否決されたにもかかわらず、なぜか松江市教育委員会にどこからか大きな圧力をかけ、ねじ込んだようだ。ヤクザでも連れて脅したのだろうか。ネットには、中島市会議員が、ヤクザ風の在特会の男を連れて教育委員会を訪問している写真が出回っている。

中島康治・高知県市会議員のブログ「続々はだしのゲン」を読むと、この市会議員は、『はだしのゲン』を反日極左漫画、日教組と共産党が推進する漫画であり、現在の歴史認識とかけ離れていると評価している。

果たして本当にそうであろうか。私から見たら、『はだしのゲン』は、戦時中の日本で最も悲惨な出来事、米国による広島の原爆投下や日本軍による近隣諸国の支配を的確に表した物語であり、真実を的確に表していると思う。現実は、もっと悲惨であっただろう。

作者の中沢啓治さんの妻のミサヨさん(70)も、上述のNHKのニュースの中で、「教育委員会が、『はだしのゲン』を自由に読めないようにしているという話はこれまで聞いたことがなく、大変驚いている。『はだしのゲン』は、子どもたちが読めるように描写も抑えている。それでも、一部の描写が過激だということだが、戦争や原爆の被害は決してきれいごとではないし、子どもたちに本当のことを知らせなければ、戦争の悲惨さや平和の尊さについてきちんと伝えられない。松江市教育委員会には、『はだしのゲン』を子どもたちが自由に読めるようにしてほしい」と語っている。

もし、松江市教育委員会が、ヤクザ・在特会の脅しや圧力によって『はだしのゲン』を排除したとしたら、大問題だ。「美しい日本」ではないが、右翼がよく日本を美化するために歴史を捏造するのに加担するのと同じことだからだ。慰安婦は娼婦だったとか、強制ではなかったとか、南京大虐殺はなかったとか主張して、真実から目をそらすことで、日本人を美化しても、真実は世界中に知れ渡っているわけだし、騙せるのは日本人だけ、それも日本国内から一歩も外にでない人だけだ。

おそらく、この連中は、米軍による広島、長崎への原爆投下さえも否定したいのかもしれない。

松江市教育委員会には、なぜ、『はだしのゲン』を図書館から撤去しないという方針から撤去することになったのか、脅しを受けたとしたら、誰からどんな脅しを受けたのか、国民が納得するような説明が求められる。

戦争の歴史は、それがたとえ、どんなに悲惨であっても、その真実を後世に伝えなければならない。戦争の恐ろしさを伝えることによって、2度と同じ過ちを繰り返さないよう、子供の頃から徹底的に教育されるべきだからだ。


参考記事:
松江市教育委員会が、中沢啓治さんの漫画「はだしのゲン」を、市内の小・中学校の図書室で子どもが自由に読むことができなくするよう学校側に求めていたことが分かりました。

市の教育委員会は、一部に過激な描写があるためとしています。

漫画「はだしのゲン」は、去年12月に亡くなった被爆者で漫画家の中沢啓治さんが、原爆の被害を受けた広島で力強く生きていく少年の姿を描いた作品です。この「はだしのゲン」について、松江市教育委員会は、去年12月に開いた小・中学校の校長会で、すべての学校に対し、子どもが図書室などで自由に読むことをできなくさせる「閉架」の措置をとるよう口頭で要請しました。

措置を要請した理由について、教育委員会は「漫画の中に、人の首を切る場面や女性が乱暴される場面など、一部に過激な描写があるため」としています。

教育委員会では、要請後の学校側の対応を把握していないとしていますが、学校の中には、図書室で読むには教員の許可を必要とした上で、貸し出しを禁止したところもあるということです。

松江市教育委員会では、「平和への願いなど、作品に込められた趣旨は高く評価しており、教員が指導して平和学習の教材として使うことには問題はないが、過激な描写が含まれており、子どもが自由に読むことについては疑問がある」として話しており、現時点では措置を変える予定はないとしています。

中沢啓治さんの妻「戦争の悲惨さを伝えられない」

「はだしのゲン」の作者である中沢啓治さんの妻のミサヨさん(70)は、「教育委員会が、『はだしのゲン』を自由に読めないようにしているという話はこれまで聞いたことがなく、大変驚いている。『はだしのゲン』は、子どもたちが読めるように描写も抑えている。それでも、一部の描写が過激だということだが、戦争や原爆の被害は決してきれいごとではないし、子どもたちに本当のことを知らせなければ、戦争の悲惨さや平和の尊さについてきちんと伝えられない。松江市教育委員会には、『はだしのゲン』を子どもたちが自由に読めるようにしてほしい」と話しています。

原画展の来館者は

広島市中区の原爆資料館では先月から、「はだしのゲン」をはじめ、中沢啓治さんがみずからの被爆体験をもとに描いた漫画や絵本の原画の展示会が開かれています。

兵庫県赤穂市から小学5年生の息子と訪れた男性は、「『はだしのゲン』は漫画という形で分かりやすく戦争体験を後世に伝えられる作品だと思うので、松江市教育委員会の決定は残念です」と話していました。

また、大阪市から中学2年生の娘と訪れた男性は、「教育委員会の心情も分かるが、漫画を読ませるかどうかは保護者が判断すれば良いと思います」と話していました。

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