Sunday, February 3, 2013

原子力規制庁幹部、日本原電に内部資料漏洩

原子力規制庁の地震・津波担当名雪(なゆき)哲夫審議官(54)が、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査の報告書原案を、有識者による評価会合前に原電に渡していたことが判明した。

原電側は初回の会合があった1月21日、断層調査の報告書案に反論しやすいよう評価会合前に内容を教えてほしいと、担当審議官に要請したそうだ。会合では、規制庁側の同席者はなく、1人で電力事業者と面会するのを禁じる内規に違反している。

そもそも、原子力規制庁の前身である保安院は、東電など電力事業者とズブズブの関係を批判されて廃止になった機関である。それを是正するために、わざわざ国民の税金を使って新しい組織、原子力規制庁が設立されたのだ。

下記の原子力規制庁の提言内容にもあるとおり、独立性と透明性を確保するために、「意思決定に不当な影響を及ぼす可能性のある組織から機能面で分離されていなければならない。」と提言されている。それなのに、裏で電力事業者とつながっていたら、保安院となんら変わらないではないか。



何よりも、驚くのが、電力事業者に断層調査の報告書の内容を渡した名雪(なゆき)哲夫審議官の処分があまりにも軽すぎることだ。まず、金品の授受がなかったという本人の言うことを信じているようだが、実際、本当に金品の授受がなかったかどうかはわからない。

本来なら、国民への裏切り行為を行った国家公務員は、国家公務員法違反で職を辞さなければならないのに、個人の問題として、単に注意だけの「戒告」で済まされているのだ。あまりにも国民を馬鹿にした処分だと思わないか。



原子力規制庁幹部、日本原電に内部資料漏洩


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原子力規制委員会は1日、事務局の原子力規制庁の地震・津波担当の名雪(なゆき)哲夫審議官(54)を、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査の報告書原案を、有識者による評価会合前に原電に渡していたとして、訓告処分にしたと発表した。規制委は名雪氏を更迭し、同日付で出身の文部科学省に出向させた。規制委の田中俊一委員長は「信頼回復に努める中での不適切な行為で誠に遺憾」と規制庁に再発防止を指示した。
規制庁によると、名雪氏は会合前の1月22日、庁内の執務室で、原電の市村泰規(たいき)常務ら3人と約30分間、面会した際に報告書原案を手渡した。規制庁側の同席者はなく、1人で電力事業者と面会するのを禁じる内規に違反する。名雪氏が同23日に申し出て、職務を外された。名雪氏は文科省や内閣府原子力安全委員会で原子力行政を担当してきた。
面会は原電からの要請で、内規で記録を残すことを義務付けていない「儀礼上のあいさつ」との名目。途中から敦賀原発の話題になったという。名雪氏は規制庁の聴取に「評価会合を実りあるものにする意識で渡した。金品の授受もなかった」と説明したという。一方、原電によると昨年12月以降、名雪氏と市村氏らは5回面会。原電側は初回の同21日、報告書案に反論しやすいよう評価会合前に内容を教えてほしいと要請した。名雪氏は「委員と相談する」と答え、1月22日に渡された。原電は「委員の了解が得られたと考えた。非はない」と説明した。
規制庁の森本英香(ひでか)次長は「原案に未公表情報はなく修正指示もない。著しく軽率だが、個人の問題」と原電側に事情を聴かないまま調査を終結させた。評価会合メンバーの鈴木康弘名古屋大教授は「報告書の内容への影響はないが、誤解を与える恐れがある」と語った。 規制委の有識者による評価会合は昨年12月10日、敦賀原発2号機直下を通る断層を「活断層の可能性が高い」と認定。廃炉の公算が大きくなっている。1月28日に議論を文書化した報告書案を示した。【岡田英】

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