尖閣諸島の領有権争いから、中国の反日デモの規模が大きくなり、日中関係がぎくしゃくしてきた。報道では、中国で日本人を襲ったり、日本車を壊したり、日の丸を燃やしたりなどの過激な暴動が起こっているようだが、実際はどうなのだろうか。
昨日は、カナダ人で現在香港に在住している元生徒や、カナダに住む中国人の元生徒とFBで活発にやりとりをして、中国での反応を確認してみたが、報道されているように感情的になっている人より、冷静に見守っている人の方が多いようだった。中国人でも、尖閣諸島は、日本の領土と認めている人もおり、中国にいる全ての人が反日感情を抱いているわけではないようだ。
昨日は、カナダ人で現在香港に在住している元生徒や、カナダに住む中国人の元生徒とFBで活発にやりとりをして、中国での反応を確認してみたが、報道されているように感情的になっている人より、冷静に見守っている人の方が多いようだった。中国人でも、尖閣諸島は、日本の領土と認めている人もおり、中国にいる全ての人が反日感情を抱いているわけではないようだ。
しかし、今回の尖閣諸島の領有権争いには、日中両国の政治的戦略がからんでいる。中国では、国民の間にナショナリズムを煽ることによって、中国共産党が力を強める。日本では、右翼代表である石原チン太郎が尖閣諸島を購入するために一般市民に寄付をせがんだのが発端となった。その後、政府が買い取ることになり、チン太郎は憤慨するが、いつのまにか静かになった。
中国共産党や日本右翼を煽って、日中関係を悪化させ、日中戦争を企てようとしているのが、米国である。今から3年前に書いたエントリー、
の中で紹介させていただいた『オルタナティブ通信』の「動き出す戦争やたち」に、米国の次のような戦略が記されている。
かつてCIAを統括する米国大統領直属の国家安全保障会議NSCの議長であり、同時に東アジア担当者であり(クリントン政権)、後に安全保障担当の国防次官補となったジョセフ・ナイ。
そのナイは現在、米国の政治家養成スクール、高級官僚養成スクールであるハーバード大学ケネディ行政大学院の院長となり、そこから輩出された多数の政治家・行政マンの司令塔となっている。ナイは長年、「事実上」の米国の政策のナビゲーターとなって来た。
そのナイが、米国上院・下院、民主党・共和党の200名以上の国会議員を集め作成した、対日本・アジアへの戦略報告書「Bipartisan report concerning Japan」には、「米国は、中国と日本との紛争・戦争を助長し、それを誘発する戦略を取る」と明確に語られている。
アジアにおける超大国である中国と日本が紛争を起こし、場合によっては戦争を起こす事は、超大国同士が「疲弊」し、米国のアジアにおけるプレゼンス・地位を「大きく」し、「アジア・コントロール」を容易にする。日本と中国が戦争を起こせば、両国に兵器を納入している米国軍事産業が「莫大な利益を得る」。
分割して統治する。
「アジア人同士に殺し合いを行わせろ。それが米国の利益だ。」と言う戦略である。”Bipartisan report concerning Japan”は秘密文書だろうから、ネットで見つかるわけもないが、もし、これが本当だとしたら、米国が画策する「日中戦争」の機会が今、まさに訪れようとしているわけだ。
フランクリン・D・ルーズベルト第32代米国大統領が、言ったように「政治の世界では、何事も偶然に起こるのではない。もし何かが起こったならば、それは前もって、そうなるように謀られていたのだ。」つまり、今回の尖閣諸島をめぐる紛争も、米国が誘発したものだったに違いない。
参考記事:
植草一秀の『知られざる真実』 日中紛争の拡大は米国が望んで創作されたもの
そのなかで、米国の指令を受けて、あるいは、米国の歓心を買うために、一部の日本人が、東アジアの緊張を意図的に高める作為的行動を示していると考えられるのだ。
それが、前原誠司氏による日中間の「棚上げ合意」否定発言であり、石原慎太郎氏による尖閣購入発言であると思われる。
「戦略的互恵関係」を構築するうえで、こうした人為的な摩擦の創作は百害あって一利なしである。
しかし、領土問題に火を点ければ、一般国民は通常、対外強硬論に引っ張られる。近隣諸国に対して攻撃的な言動を強めれば、世論の支持を得やすいと、軽薄な政治家の多くが考えるだろう。
両国がこの対応をエスカレートすれば、最後には武力衝突という事態すら発生しかねない。
こうした形で紛争を拡大させることは愚の骨頂であるが、米国、軍事産業、右翼を標榜する政治家は、ここから利益を得ようとする。
日中の経済関係は拡大しており、両国間の緊張の高まりは、日本経済に重い影を落とす。
全国各地の観光産業にとっては、いまや中国からの観光客受け入れが大きなビジネスチャンスになっている。
製造業においても中国市場は極めて重要で有望なマーケットであり、日中の関係悪化は日本国民にも重大な影響をもたらすものである。
尖閣の領有権問題の「棚上げ」を中国サイドが一方的に廃棄しようとするものでない限り、日本側から、この「棚上げ」を破壊することは賢明でない。
問題の早期収拾に向けて、日本政府の賢明な対応が強く求められている。
尖閣諸島めぐる日中の領有権争いは秒読みに―米誌
レコードチャイナ 2012年5月30日 5時12分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=61671
福島第一原発事故の収束もつかず、原発再稼動に反対しながら、日々、放射能との闘いを強いられている今の日本人にとって、もしここで日中戦争が始まったら、いまより一層ストレスを感じるようになる。原発も戦争もほんの一部の人の利権のために、多くの罪のない国民を奈落のどん底に貶めるという共通点があるが、賢明な私たちは、米国の戦略に決して乗せられてはならない。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=61671
2012年5月24日、米誌タイムは「日中の島嶼争いは秒読みに」と題した社説で、尖閣諸島をめぐる日中の領有権問題勃発の可能性について伝えている。中国国営・新華社の報道。
「今後1~2年内に尖閣問題を解決できなければ、中国と一戦交えることになるかもしれない」。日本の外交関係者と国民は、不幸なことにこの危険に気づいてはいない。元外交官で京都産業大学世界問題研究所の東郷和彦所長も、「われわれはすでに、たどり着きたくない場所に流れ着いた。そして、時間はもうあまり残されていない。宣戦布告に足る原因は確かに存在する。われわれは軍事面での準備を始めるとともに、両国の溝を埋める外交努力をすべき」と説いている。
5月、北京で行われた日中韓首脳会談で、日中個別会談は反故にされ、続いて郭伯雄(グオ・ボーシオン)中国共産党中央軍事委副主席の訪日は延期となった。最近になって尖閣諸島を「国家の革新的利益」と定義した中国は、ついに牙をむいたといったところか。単なる小さな島嶼をめぐる争いが、長期化するにつれて歴史観の問題に拡大し、感情的に解決しがたい問題になった。これが戦争に発展することはなくても、両国の軍拡に繋がる可能性は十分にあり得る。
金寛鎮(キム・グァンジン)韓国国防相も、今月に予定されていた訪日を中止した。再びロシア大統領に返り咲いたプーチン氏は、北方領土問題解決に向けて意欲を示し、日中の領土問題には米国が噛んでくる可能性もある。各国にじわじわと募る思惑はまさに発酵しつづけていると言ってよい。(翻訳・編集/愛玉)
福島第一原発事故の収束もつかず、原発再稼動に反対しながら、日々、放射能との闘いを強いられている今の日本人にとって、もしここで日中戦争が始まったら、いまより一層ストレスを感じるようになる。原発も戦争もほんの一部の人の利権のために、多くの罪のない国民を奈落のどん底に貶めるという共通点があるが、賢明な私たちは、米国の戦略に決して乗せられてはならない。
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